『和』を大切に
テレビ報道、新聞記事全てにおいて毎日新型コロナウイルスのことで埋め尽くされております。
教育、文化、スポーツ、経済のあらゆる分野にその影響が出てきております。
東京オリンピックを間近に控え、世界的な流行を考えますと、厳しい状況があります。
我が寺におきましても新年度早々の行事が延期、中止せざるを得ない状況です。
先日WHOがヨーロッパ地域をパンデミックの状態に陥ったことを発表しました。中国武漢市から広がった新型ウイルスの流行は、今やアジアから全世界へと広がってしまいました。それに影響してか、世界的な株価の暴落は、世界経済に大きな影響が出ております。国内でもあらゆる分野での不安な思いは、マスク不足、アルコールなどの消毒液の不足、はたまた、トイレットペーやお米等、十分に足りている品物にもかかわらず買いだめに走る群集心理につながっております。終息が長引くようであれば、世界的な恐慌がおとずれることになるでしょうか。人類にとって大きな試練となるのでしょう。
最近の自然災害を見ましても人間の力ではどうにもならない事が有るということを肝の銘じなければならないのでしょう。
私の楽しみにしておりましたゴルフ、高校野球、サッカー等スポーツ関係がほとんど中止となってしまいました。日常が味気ないものになってしまいました。社会や個人が豊かであると人は心(精神)まで豊かさを感じ、不安も持たず生活(経済・文化)もうまく回ります。かつて日本ではバブル景気がありました。新卒の若者が当時30万円のスーツを着て、高級車を乗り回すような時代がありました。今では考えられませんが、当時は特別ではなかったのでしょう。
『物で栄えて、心で滅ぶ』という言葉があります。豊かさとは何なのか。こうした機会に考えることも大切であるように思います。
聖徳太子は『世間虚仮、唯仏是真』と言われました。仏様の教えを基に政治を進めましたが、私という側で考えれば、仏様の真実の世界から物事を見、考える生き方のように思います。太子の示された十七条憲法には『和を以て貴しとなす』の文が初めに出てまいります。中世以降の人類は、科学の発展と共に、世界を支配したかのような思い込みを持ってしまったように思うのです。人類は世界を支配できません。世界のあらゆるものの一部である(自然の中で迷惑をかけずに生きる)とするのが、仏教の教えであると思います。世界の動植物やあらゆるものと同等の生き物なのです。人類が一番ではないのです。
それが仏教的な生き方であると思います。『和』とは調和、バランスです。他に敬意を払うことでしょう。人類は万能ではありません。自然の猛威(未知のウイルスや台風等)で被害や災害を受けることは避けられません。今後も自然の猛威はさまざまに起こることと思います。
そのものが自然によるものか、人為的なものかを事象を見て判断して、『和』を大切にして、自然との共生を考えて歩む道を模索することが大切のように思います。(2020.3.16)